はじめまして、旅する保険プロです。
「高校生や大学生の息子が、通学やバイトのために原付バイクに乗り始めました。でも、私の自動車保険に『ファミリーバイク特約』をプラスしたから、万が一のときもこれで安心ですよね」
お子様が原付や125cc以下のスクーターに乗り始めるとき、多くの親御さんがこの「ファミリーバイク特約」を選びます。わざわざバイク用に新しい保険を契約しなくても、大人の自動車保険にセットでき、同居の家族全員をカバーしてくれるため、非常に人気のある特約です。
しかし、30年現場に立つ保険のプロとして、ここで親御さんに強く警鐘を鳴らさなければならない、実務上の「冷酷な境界線」があります。
「安心だと思っていた特約なのに、我が子がガードレールにぶつかって大ケガをしたとき、思っていたような治療費が出なかった……」と、後から青ざめることのないように、現場のリアルをお話しします。
■ 誰も教えてくれない「2つの種類」という最大の罠
ファミリーバイク特約をセットするとき、あなたは保険会社の担当者やネットの画面から、こう聞かれたはずです。
「『自損事故型』にしますか? それとも『人身傷害型』にしますか?」
ここで多くの方が「少しでも安い方にしよう」と、中身をよく見ずに「自損事故型」を選んでしまいます。それもそのはず、この2つは保険料が大きく異なります。
会社にもよりますが、自損事故型なら年間で約1万円(月々800円程度)の負担で済むのに対し、人身傷害型にすると年間で約3万円(月々2,500円程度)ほどになり、年間で2万円近く、月々でも1,500円以上も保険料が変わってくるからです。
しかし、この「目先の保険料の差」をケチってしまうと、我が子に万が一の事故が起きたとき、天と地ほどの差が生まれます。
■ 「自損事故型」は、我が子のケガにはほぼ役に立たない
もし、お子様が雨の日に原付でスリップして、単独で電柱やガードレールにぶつかって大ケガをしてしまった(自爆事故)とします。
このとき、もし特約が「自損事故型」だった場合、あなたの自動車保険本体についている立派な「人身傷害(無制限など)」の補償は、原付の事故には1ミリも連動しません。
自損事故型から出るケガの補償は、あらかじめ決められた一律の定額(死亡1,500万円、入院日額6,000円など)だけです。若い我が子が長期間入院したり、重い後遺障害が残ってしまったりしたときの莫大な治療費や将来の補償としては、まったく足りないのが現実です。
さらに恐ろしいのは、「相手がいる事故(過失割合が発生する事故)」で我が子がケガをした場合、この自損事故型からは1円の治療費も出ないという点です。相手の自賠責や任意保険から十分に治療費がもらえればいいですが、もし相手が無保険の無法者だった場合、我が子の体は完全に無防備になってしまいます。
■ 我が子の命を守るなら、保険料の差をケチらず「人身傷害型」を
だからこそ、旅する保険プロとして、現場からお届けする鉄則はひとつです。
「ファミリーバイク特約をつけるなら、保険料の差に惑わされず、必ず『人身傷害型』を選んでください」ということです。
人身傷害型にしておけば、お子様が原付で自爆事故を起こしたときも、相手がいる事故に巻き込まれたときも、あなたの自動車保険本体の「人身傷害」と同じように、実際にかかった治療費の医療実費などを「無制限」や「数千万円」といった大きな上限額で100%きっちり守ってくれます。
生身で転倒するバイク事故の恐ろしさを考えれば、ここの差額を削るリスク管理は、プロの目から見るとおすすめできません。
■ もう1つの盲点:原付の修理代は「1円も出ない」
最後に、実務でもう1つよくある勘違いを補足しておきます。
「お父さんの自動車保険に『車両保険』がついているから、息子の原付が壊れたときの修理代も出るよね?」と思われるかもしれませんが、ファミリーバイク特約では、原付バイク本体の修理代(車両保険)は100%対象外です。
バイクが壊れたら、それは全額自己負担で買い替えるか直すしかありません。この境界線も、プロとして事前に家族で共有しておくべきリアルです。
「入っているから安心」という綺麗事に騙されてはいけません。大切な我が子の命と未来を本当に守れる「正しい1本」を正しく選び、スマートに家族を守っていきましょう。
PS 私も夏場は中古のスクーターで近場のお客様のところへ営業活動します。
もちろん人身傷害型にしています。私の今年の保険料は3,030円でした。

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