はじめまして、旅する保険プロです。
「銀行の窓口に相談に行ったら、『今の日本の銀行にお金を預けても金利はほぼゼロですが、米ドル建ての保険なら利回り4%近くありますよ!』と勧められました。老後の資金に良さそうですよね」
ここ数年、円安や物価高のニュースが飛び交う中で、こうした「外貨建て保険(終身保険や年金保険)」に興味を持つ方が非常に増えています。日本の超低金利にうんざりしている身からすれば、「米ドルで4%」という響きは、とても魅力的に映るはずです。
しかし、ここに銀行や保険会社が決して大きな声では言わない、独自の「手数料の罠」が隠されています。
「老後を豊かにするための資金だったのに、いざ解約したら大損してしまった……」と後から涙を流すことのないように、30年の現場経験からリアルな裏事情をお話しします。
■ パンフレットの「利回り」は、あなたの貯金が増えるペースではない
外貨建て保険のセールストークで、誰もが引っかかる最大の勘違いがあります。それは、「預けたお金全体が4%で増えていくわけではない」という点です。
あなたが払った保険料からは、まず保険会社の取り分である「新契約費」や「維持費」、 shadowコストではなく「死亡保障のコスト(保険契約の維持・管理に必要な費用)」などが、最初に差し引かれます。その残った「一部のお金」だけが4%で運用されているに過ぎません。
さらに、ここに「為替手数料」が上乗せされます。
円をドルに換えるとき、そして将来、ドルを円に戻すとき。往復で必ず手数料が引かれます。利回りという派手な数字の裏で、目に見えない無数の細かい引き算(手数料)が繰り返されているのが、この商品の正体です。
■ 10年以内に解約すると科される「ペナルティ」の恐怖
「外貨建て保険は、途中で自由に引き出せるから安心です」という言葉にも、実務上は注意が必要です。
これらの保険には、ほぼ例外なく「解約控除(かいやくこうじょ)」というペナルティが存在します。契約してから10年以内に「急にお金が必要になったから解約したい」となった場合、積立金から一定の違約金が差し引かれます。
これに加えて、もし解約するタイミングで「大円高」に振れていた場合、為替のロス(為替差損)までダブルで直撃します。結果として、「せっかく数年間預けたのに、戻ってきた元本は元々の円より遥かに減っていた」というトラブルが起き、全国の消費生活センターや保険会社の相談窓口には、今なお毎年のように数千件規模の苦情や相談が寄せられ続けているのが現実です。
■ 資産形成の場所に「手数料の高い保険」を選ぶな
「今の時代、円だけで持っているのはリスクだから、外貨も持っておきましょう」という理屈自体は、100%正しいです。
しかし、だからといって、わざわざ保険会社の手数料や死亡保障のコストが何重にも引かれる「生命保険」という仕組みを使って外貨を持つ必要は1ミリもありません。旅する保険プロとして、私が現場からお届けする鉄則はひとつです。
「増やすための外貨と、家族を守るための保険は、完全に分けて考えろ」ということです。
もし、為替のリスクを背負ってでも外貨で資産を増やしたいのであれば、保険ショップではなく証券会社に行き、手数料が圧倒的に安いシンプルな投資信託などを自分で選ぶべきです。その方が、いつでもペナルティなしで解約できますし、中身もはるかにガラス張りで安全です。
「銀行が勧めるから安心」という綺麗事に騙されてはいけません。複雑な数字の裏に隠された手数料を見抜き、あなたの大切な老後資金をスマートに防衛していきましょう。

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