【水災補償の現実】「床下浸水は出ない」の誤解。営業マンが語らない『45センチ』の壁と最新プランの真実

はじめまして、旅する保険プロです。

「うちは川から少し離れているし、ハザードマップもそこまで真っ赤じゃないから、水害の保障は外しても大丈夫かな」

「いやいや、最近のゲリラ豪雨はどこで起こるか分かりませんから、絶対に水災補償はつけておきましょう!」

そんなやり取りを経て、高い保険料を払って「水災補償」をつけている方は多いと思います。しかし、ここに火災保険の中で最も契約者が勘違いし、いざという時に現場で大揉めになる「非情な境界線」が隠されています。

「水害の保険に入っていたのに、1円も出ないなんてどういうことだ!」と、泥水が引いた後の自宅で途方に暮れることのないように、営業マンが絶対に語らない査定現場のリアルをお話しします。

■ 現場を分ける「45センチ」という冷酷な数字

一般的に、従来の火災保険の水災補償には、以下のような共通の支払い基準があります。

 1. 床上浸水(住居部分の床の上にまで水が来ること)

 2. 地盤面(地面)から45センチを超える浸水

勘違いされやすいのですが、床の上まで水が届かない「床下浸水」であっても、地面から45センチを超えていれば補償の対象になります。しかし、逆に言えば「45センチ以下で、床の上にも達していない床下浸水」だと、従来の基準では1円も支払われません。

これが、現場で起きる本当に苦しい悲劇の引き金になります。

集中豪雨で家の周りが浸水し、床下に泥水が入り込んでしまった。片付けや消毒、傷んだ断熱材の修理に数十万円〜100万円近くかかるのに、保険会社の査定員が測ったら「地面から35センチなので対象外です」と、バッサリ切り捨てられてしまうケースが後を絶たないのです。

■ 基礎が高い家ほど損をする?皮肉な構造

なぜこんなことが起きるのかというと、保険を売る営業マンが「水災をつけておけば安心です」とだけ言い、この「45センチ」という数字があなたの家にとってどれだけ高い壁かを解説しないからです。

最近の注文住宅やハウスメーカーの家は、湿気や浸水を防を防ぐために、あえて基礎(地面から床までの高さ)を「50〜60センチ」と高めに設計しているケースがよくあります。

ここが盲点です。基礎が高い家の場合、たとえ地面から40センチの猛烈な水が押し寄せて床下が水浸しになっても、45センチ以下なので従来の基準ではゼロ。「基礎がしっかりしている良い家ほど、床下浸水で大損害を受けても、昔ながらの保険の基準をクリアしにくい」という、皮肉な現実があるのです。

■ 従来の「特約」と、最新の「実損型プラン」の真実

こうした床下浸水の不満に対して、一部の保険会社では「床下浸水でも一律10万円〜30万円程度のお見舞金を支払う特約」を用意しています。しかし、これらはあくまで「お見舞金」であり、高額な修理代の前には焼け石に水なのが現実です。

もし、本当に床下浸水のリスクに備えたいのであれば、近年登場している「高さの基準(45cmなど)を一切使わず、損害額が建物の評価額の一定割合を超えたら、出た損害の分だけ保険金を支払う」という最新の実損型プランを導入している会社を選ぶ必要があります。

もしあなたの家の営業マンが、ただ「水災をつけましょう」とだけ言って、こうした仕組みの違いや、あなたの家の構造に合ったプランの選択肢を提示してくれないのだとしたら、それは完全に勉強不足です。

■ 我が家の「現実の高さ」から逆算する引き算の視点

「水災補償をつけているから、どんな水害でも我が家は守られる」という思い込みは捨ててください。

私たちが本当にすべきことは、営業マンの言葉に流されて思考停止で特約を足すことではありません。まず自分の足で家の周りを歩き、「自分の家の基礎の高さは何センチあるか」、そして「周囲の道路や隣の土地と比べて、敷地がどれくらい高いか」を冷静に把握することです。

もし、基礎が高くて床下浸水の恐怖が強いなら、昔ながらの高さ一律基準の保険ではなく、損害額で見てくれる最新プランなどを慎重に選ぶ必要があります。

逆に、敷地が周囲より遥かに高台にあり、洪水のリスクが物理的にゼロに近いなら、水災補償そのものを外して(引き算)、その分の浮いた保険料を手元の貯金に回すのが正解です。

パンフレットの安心感に騙されず、あなたの家の「現実の高さ」を見極めて、本当に意味のある選択をしていきましょう。

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