はじめまして、旅する保険プロです。
「ゴルフを始めるなら、万が一のホールインワンに備えてゴルファー保険に入っておきなよ。お祝い代で数十万円がパッと吹き飛ぶからね」
先輩ゴルファーや保険の営業マンから、そんな風に勧められて加入している方はとても多いです。
アマチュアゴルファーにとって、ホールインワンは一生に一度あるかないかの奇跡であり、最高の名誉です。しかし、実はここに「おめでたいはずの快挙が一転して、大損をまねく恐怖の罠」が隠されています。
「30万円の保険に入っているから、30万円まるまる貰える!」と勘違いしたまま祝賀会を開いたサラリーマンが、なぜ現場で「これは認められません」と冷酷にハネられ、結局大金を自腹で払う羽目になるのか。査定現場のシビアな裏事情をお話しします。
■ 30万円が丸ごと貰えるわけじゃない!「実損払い」の罠
まず多くの契約者が勘違いしているのが、ホールインワンを達成したら保険金が「一律で満額支給される」と思っている点です。
実際は全く違います。ホールインワン保険は「実際にかかった費用を、上限額まで支払う(実損払い)」という大原則があります。
お祝いのゴルフコンペを開いた、記念品を作った、祝賀会を開いた……という全てのアクションに対して、「実際に支払った領収書」を提出し、それが保険会社に認められて初めてお金が降りる仕組みなのです。
そのため、査定員は提出された領収書の中身を1円単位で信じられないほど厳しく精査します。
馴染みの店で「中身はお祝い代一式で、適当に多めの金額で領収書切ってよ」と頼んだようなアバウトなものは、プロの目にあっさり見抜かれます。「具体的な内訳を出してください」「記念品の購入数がコンペの参加人数と合いません」と冷静に突っ込まれ、怪しい費用はバッサリ拒否されます。手元には大量の「使えない領収書」と、お店への高額な支払いの現実だけが残るのです。
■ 営業マンが言わない「キャディなしセルフプレー」の分厚い壁
なぜこんなことが起きるのかというと、保険を売る営業マンが「ホールインワンが出たら30万円出ますよ!」という景気の良い話ばかりして、それを「実際にもらうためのルールの厳しさ」を教えないからです。
特に現代は、キャディをつけない「セルフプレー」が主流です。この場合、保険会社は「身内だけのサクラによる不正請求ではないか」を異常なほど警戒します。
いくら同伴の仲間が「本当に入った!」と証言しても、それだけでは保険金は降りません。たまたま近くにいたゴルフ場の従業員の目撃があったり、穴に入る瞬間が動画で完全に記録されていたりするなど、「ゴルフ場が公式にホールインワン証明書を発行してくれるだけの、客観的でガチガチの証拠」が揃わなければ、会社は受け付けてくれないのです。
営業マンの言葉を鵜呑みにして、この証明書や領収書のルールを確認する前に浮かれて先にお祝いの手配をしてしまうと、後から「証拠不十分で1円も出ません」と言われ、数十万円の負債を一人で背負うことになります。
■ 自分のゴルフスタイルから逆算する引き算の視点
「ゴルファーだから、とりあえずフルセットの手厚い保険に入っておきなよ」という思考停止の足し算は、今すぐやめましょう。
私たちが本当にすべきことは、営業マンに勧められるまま高いプランに入るのではなく、自分の「ゴルフの現実」を見つめ直すことです。
もし、あなたがいつもキャディをつけないセルフプレーばかりで、仲間内でのカジュアルなゴルフがメインなら、そもそもホールインワン特約の審査を通すこと自体が極めて困難です。それなら、わざわざ高いお金を払ってホールインワン特約をつける必要はありません(引き算)。
ゴルファー保険で本当に備えるべきなのは、お祝い代ではなく、「打ったボールが他人の頭に直撃してしまった」「素振りをしたら後ろの人の顔に当たってしまった」という、数千万円クラスになり得る「対人賠償責任」や、自分の大怪外傷の保障です。
おめでたい看板の裏にある「泥臭い実損払いの現実」を正しく知り、自分に必要な最低限の保障だけを賢く選んでいきましょう。

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