はじめまして、旅する保険プロです。
30年間、この業界の最前線に立ってきた人間として、今、日本の損害保険業界が迎えている地殻変動に強い危機感を抱いています。
現在、金融庁は有識者会議などを開き、保険業界の「近代化・システム化」を一気に推し進めようとしています。これまでの不透明な業務プロセスを排除し、デジタルによってクリーンな業界へ生まれ変わらせるための大改革。確かに、相次ぐ不祥事を正すという意味では必要なことです。
しかし、現場に立つ人間として、金融庁のやり方には強い疑問を抱かざるを得ません。彼らが掲げる方針は、あまりにも「現場の現実」を無視した机上の空論ばかりだからです。
■ 現場を疲弊させる、金融庁の「綺麗事」
不祥事を防ぐため、という大義名分のもと、金融庁が押し付けてくるのは現場のキャパシティを超えた過剰な確認作業や、あまりに複雑すぎるシステム操作です。
有識者会議に並ぶエリートたちが頭の中で描いた「理想のシステム」は、結果として、地方の小さなお客様や、現場で汗を流す真面目な募集人をただただ疲弊させています。悪いのは不正を働いた一部の大手なのに、なぜ真面目にやってきた現場が、これほど内向きの事務負担で苦しまなければならないのでしょうか。
しかし、この国の強引な改革を前にして、現場の側にも目を背けられない深刻な足枷が存在します。それこそが、「新しい変化を頑なに拒み続ける、古い世代の人間たち」の存在です。
■ 変化を拒む、現場の「老害」という現実
「昔からこのやり方でやってきたんだ」
「パソコンやシステムなんて、ややこしいものは使いたくない」
国のシステム化がどれだけ現場無視の理不尽なものであろうとも、プロである以上、私たちはそれを受け入れ、お客様に迷惑がかからない形にアップデートしていかなければ生き残れません。
しかし、現場の年寄りたちは、ただ「面倒だから」「昔の方が楽だったから」という理由で変化を拒絶します。彼らにとって、システム化とは自分の無能さが浮き彫りになることへの恐怖に他なりません。
国が現場を見ない綺麗事を押し付け、現場の老兵が私欲と保身でそれに逆行する。この「机上の空論」と「現場の老害」の不毛な戦いの間で、割を食うのはいつも、未来を創ろうとしている若い世代の社員であり、何より、本当の安心を求めているお客様なのです。
■ 「静かに目を閉むる老人の顔」はどこへ行ったのか
かつて、すべてをやり遂げて美しく去っていく人間の姿を、文学の世界では「静かに目を閉むる老人の顔」と表現しました。そこには、自分の役割を全うし、次の世代に未来を託して静かに退く人間の、圧倒的な誇りと気高さがありました。
時代の変化を察し、見事な引き際を知る先達が、かつての日本にはいたはずです。
しかし、今の業界の古い体制にいる人間たちはどうでしょうか。時代の変化にも、国の厳しい眼差しにも耳を塞ぎ、自分の地位や「楽な昔のやり方」に執着して、見苦しく席にしがみついている。その顔に、かつての先達が持っていたような美しさは微塵もありません。
■ 私たちは、どちらの未来を選ぶべきか
国が現場を無視しようとも、古い人間が変化を拒もうとも、時代はもう止まりません。
私たちが選ぶべきは、過去のやり方にしがみつく組織でもなければ、お上の言うことに盲従するだけの組織でもありません。理不尽な国の制度と、古い現場の反発の「狭間」に立ちながらも、泥をかぶって自らをアップデートし、本当にお客様を守るために戦う「本物のプロ」です。
私はこれからも、業界の上層部や国の綺麗事に怯むことなく、現場から「本当の正しさ」を発信し続けます。

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