はじめまして、旅する保険プロです。
「子どもが自転車で人にぶつかって大ケガをさせたら怖いから、念のため自転車保険に入ろう」
「クレジットカードの明細についてる『個人賠償特約』も、月々わずかだし一応そのままにしておこう」
日常生活の「万が一の加害事故(対人・対物)」に備える個人賠償責任保険。お店の高価な売り物を壊した、飼い犬が他人に噛みついてケガをさせた、自転車で歩行者をはねてしまった……そんな数千万円クラスの賠償リスクを、わずか月200円ちょっとで「無制限」に守ってくれる、非常にコスパの良い守り神です。
しかし、ここに一般家庭で最も多く発生している、損害保険の「隠れた二重払い」の罠があります。
「気づかないうちに家族で何重にも加入し、何年間もお金をドブに捨て続けていた……」と後から青ざめることのないように、現場のリアルをお話しします。
■ 知らないと損をする「家族全員カバー」のルール
個人賠償責任保険には、意外と知られていない強力なルールがあります。それは、「家族の誰か1人が契約していれば、同居の家族全員(別居の未婚の子まで)が自動的に補償の対象になる」という点です。
具体的には、お父さんが自分の自動車保険にこの特約を1つセットしていれば、奥様が自転車で歩行者と接触して相手にケガをさせてしまったときも、お子様がお店の商品を壊してしまったときも、すべてお父さんの保険から一発で補償(対人・対物)されます。
それなのに、現場では何が起きているでしょうか。
「子どもが高校に入ったから、学校が推奨する自転車保険(賠償付き)に新しく入る」
「お母さんが新しく作ったクレジットカードの付帯保険で個人賠償をつける」
「お父さんの自動車保険にも、なんとなく特約がついている」
このように、重複している事実に誰も気づかないまま、家族それぞれがバラバラに加入してしまっているケースが後を絶ちません。
■ 事故が起きても「もらえるお金は1人分」
「たくさん入っていれば、それだけ事故のときに多く保険金がもらえるんでしょう?」と思うかもしれませんが、それは大いなる誤解です。
この保険は「実損払い(かかった実際の賠償額だけを補償する)」という仕組みです。仮に自転車で相手に30万円の損害を与えてしまった場合、3つの保険に入っていたからといって、30万円×3社=90万円が手元に入ってくるわけではありません。どこか1社から30万円が支払われて終わりです。
つまり、2つ目、3つ目の契約は、「毎月お金を払っているのに、いざという時に1円も役に立たない、完全な無駄金」になっているのです。
1つの契約が月240円だとしても、家族で何重にも重複していれば、年間で数千円のロス。これが5年、10年と積み重なれば、「数万円単位の現金」を、ただ保険会社に寄付し続けていることになります。
■ 家中の証券をひっくり返す、旅する保険プロの知恵
「わずかな細かい数字だから、面倒くさいから放置でいいや」という思考停止は、今すぐやめてください。無駄な固定費を削るなら、この「1円の得にもならない無駄金」を真っ先に引き算すべきです。
旅する保険プロとして、私が現場からお届けする鉄則はひとつ。
「家中の保険証券とクレカの明細をすべて机に並べて、個人賠償は『一番条件の良い1つ』だけに絞り込め」ということです。
自動車保険、火災保険、クレジットカードの付帯、共済、学校の保険。まずはこれらをすべてチェックしてください。そして、最も「補償上限額(国内無制限がベスト)」が高く、示談交渉サービスがしっかりついている1本だけを残し、残りの重複はすべて解約するのです。
「念のため、たくさん入っておく」ことは全く意味がありませ。1つの強力な守り神だけを正しく残し、あなたの大切なお財布をスマートに防衛していきましょう。

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