はじめまして、旅する保険プロです。
「私たちは籍を入れていない事実婚(内縁関係)なんですが、万が一のとき、お互いに死亡保険金を残すことはできますか?」
「もちろんです!最近は多様性の時代ですから、内縁の関係でも問題なく受取人に指定できますよ。安心してください!」
営業マンからそんな風に笑顔で太鼓判を押され、お互いを思い合って死亡保険に入っているカップルは非常に多いです。
確かに、現在の生命保険会社は昔に比べてルールが大幅に緩くなっており、内縁関係や同性パートナーでも比較的スムーズに受取人に指定できるようになりました。
しかし、ここに生命保険の中で最も「入るときの甘い言葉」と「亡くなった後の非情な現実」に激しいギャップがある、最大の罠が隠されています。
「保険に入っているから、万が一のときもパートナーを守れる!」と安心している方が、なぜあなたの死後に激しい修羅場に巻き込まれてしまうのか。営業マンが絶対に語らない現場のリアルをお話しします。
■ 保険会社は払ってくれても、親族は黙っていない
「昔に比べて、内縁関係でも保険がもらいやすくなった」というのは事実です。同居している証明(住民票など)があれば、多くの保険会社は淡々と死亡保険金を支払ってくれます。
しかし、本当に恐ろしいのは、保険会社とのやり取りではなく、「あなたの戸籍上の親族(親や兄弟、前妻の子など)との間で起きる、お金を巡るドロドロのトラブル」です。
生命保険会社にとって、死亡保険金の支払いは「数千万円」という莫大なお金が一瞬で動くイベントです。そして、あなたが亡くなったという知らせは、当然、あなたの戸籍上の法定相続人(親や兄弟)にも伝わります。
そのとき、もしあなたと親族の間が少し疎遠だったり、親族が「籍も入れていない他人に、数千万円もの大金が渡るなんて納得いかない!」と感情的になったりしたら、どうなるでしょうか。
■ 営業マンが言わない「死後に残されるパートナーの孤独」
保険を売る営業マンは「受取人に指定できますから安心ですよ」とだけ言いますが、あなたが亡くなった後に、残されたパートナーがどれだけ孤独な戦いを強いられるかまでは想像していません。
実際に現場で起きるトラブルは、親族からパートナーに対して「兄の保険金を受け取ったそうだが、それは実質的に遺産の一部だから、こっちに分けろ」「葬儀費用はそっちで全額出せ」といった、激しい心理的圧迫やトラブルです。
生命保険金は法律上「受取人固有の財産」ですから、内縁の妻(夫)が全額受け取る権利があります。しかし、法律上は正しくても、親族から「籍も入れていないくせに、お金目的で一緒にいたんじゃないか」と心ない言葉をぶつけられ、精神的にボロボロになってしまうパートナーは少なくありません。
営業マンの「手続きできますよ」は、あくまで「保険会社からお金が振り込める」というだけの意味であり、死後のパートナーの平穏までを保障してくれるわけではないのです。
■ 大切な人を本当の意味で守る「プロの引き算」
「営業マンが大丈夫と言ったから、保険に入ったから安心」という思考停止の足し算は、今すぐやめてください。
もし、あなたが戸籍に縛られない大切なパートナーに、誰からも文句を言われず、確実にお金を残して守りたいのであれば、生前からのガチガチの防衛策が必要です。
具体的には、ただ受取人を指定するだけでなく、生前に「公正証書による内縁関係の契約書」や「遺言書」を作成し、「パートナーにこれだけのお金を残すのは、私の確固たる意思である」という証拠を公的に残しておくことです。さらに、親族に対して生前からパートナーの存在をしっかりと紹介し、関係性を認めてもらう努力をしておくことも欠かせません。
パンフレットに踊る「多様性を応援します」という綺麗事や、営業マンの「手続き可能」という言葉に甘えてはいけません。大切な人を守るために、営業マンの甘い言葉を引き算し、あなたの死後に起きるかもしれない現実の人間模様から逆算した「本物の準備」をしていきましょう。

コメント