はじめまして、旅する保険プロです。
30年間、私はこの保険業界という荒波の中に身を置いてきました。
その中で嫌というほど見てきたのが、「身内に甘い組織は、例外なく腐る」という残酷な現実です。
■「親族は絶対に入れない」という大嘘
かつて働いていた会社で、社長は私を呼び止め、こう言ったことがあります。
「〇〇君。俺がなんで息子や妻をこの会社に入れないか、わかるか? 身内を入れるとな、組織が腐るんだよ。だから絶対に身内は入れないんだ」
その言葉を信じ、私を含めた若い社員たちは必死に汗を流しました。しかし、結果はどうだったか。
結局、その社長は自分の息子を甘やかして入社させ、あろうことか組織のトップに引き継がせました。
皮肉なことに、その息子が会社に入ってくる前、他の従業員たちは皆、社長からの理不尽なパワーハラスメントに苦しんでいました。誰もが辞めていくような過酷な環境でした。ところが、息子が入社した途端、そんな歪んだ組織に甘い汁が流れ込み、実力も苦労も知らない「世襲の跡取り」が現場に君臨するようになったのです。
あれほど「組織が腐る」と熱弁していた社長自身が、誰よりもその組織を腐らせていたのです。実力もなく、苦労も知らない跡取りが、他者を犠牲にして守られる。これほど、現場で働く真面目な人間たちの士気を削ぐものはありません。
■私が社長の座を「4度も断った」理由
実を言うと、その組織で私は社長から「社長をやらないか」という打診を、3度も4度も受けてきました。
周囲は「すごいチャンスだ」と言うかもしれません。しかし、私にはそれが「組織の腐敗の責任を、私に押し付けるための罠」にしか見えませんでした。
息子を甘やかして組織を歪め、現場を混乱させるその会社で、トップに立つことに何の意味があるのか。
私はその都度、即座に、そして冷ややかに断りました。私のプライドは、そんな馬鹿げたゲームに参加するほど安くはありません。
■自分の誇りを守るための「脱出」
結局、その息子が社長の座を継ぐ直前、私はすべてを捨ててその会社を去る決断をしました。
腐っていく組織の中で、社長の椅子という甘い汁を吸い続けることよりも、私は「自分の良心」と「お客様への誠実さ」を選びました。
今の自分には、あの時、自分の信念を貫いてあの組織から脱出したことが、30年のキャリアの中で最も誇らしい決断だったと言い切れます。地位や名誉を蹴ってでも守るべきものがある。それこそが、プロとして仕事をするということではないでしょうか。
■私は自分の子供を、この業界に入れない
誤解のないように言っておきますが、私は保険代理店という仕事が嫌いなわけではありません。むしろ、お客様の人生という深い場所に立ち会える、この上なく尊い仕事だと思っています。
しかし、私は自分の息子を、この業界には入れません。娘にも同じ道は勧めません。
私の息子は今、システムエンジニアとして、娘はアパレル業界で、それぞれの場所で懸命に自分の道を切り拓いています。私は彼らに、「親の看板」や「甘い環境」を用意するつもりはないのです。自分の足で立ち、逆風の中で自分の価値を証明すること。それこそが、人間としての最大の誇りだからです。
■お客様へ:その「二世代理店」は、本当に信頼できますか?
実は、こうした「偽りの跡継ぎ」は業界内に溢れています。
実力や誠実さよりも、「誰の息子か」「どの代理店の跡取りか」というコネクションが優先される。こんな環境では、本当にお客様のことを考えられる人材など育つはずがありません。
実は、腐敗した業界の構造とは全く無縁で、私自身が心から敬意を払える代理店が数人だけいます。彼らは何もないところからスタートし、理不尽と戦い、知識と誠実さだけで信頼を積み上げてきた「本物のプロ」です。
代理店を選ぶなら、看板や世襲のブランドではなく、荒波の中で実力を磨き、誰に対しても逃げずに誠実である人を選んでください。
身内に甘い組織に、未来はありません。
そして、自分の実力だけで戦わない代理店に、お客様の人生を預ける資格などないと、私は確信しています。

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