はじめまして、旅する保険プロです。
「台風で屋根の瓦が数枚ズレてしまった」
「大雪で雨樋が少し歪んでしまった」
こうした住まいのちょっとした破損(一部損)が起きたとき、多くの方は「これって火災保険で直せるのかな?」「何から手をつければいいのだろう」と、手順が分からず不安になると思います。
実は、そうした状況を見計らったかのように、「この前の台風(大雪)でここが壊れていますよ。火災保険を使えば、自己負担なしで直せます」と言葉巧みに近づいてくる業者たちがいます。
しかし、もし彼らの「見積もりさえ出せば、保険金が下りてそのお金は自由に使える。直さなくても大丈夫」という言葉を安易に信じてしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれてしまうリスクがあるのをご存知でしょうか。
実は、火災保険を取り巻くルールはここ数年で、大きく変わっています。
今日は、なぜこれほどまでにルールが厳しくなってしまったのか、その背景と、知っておくべき「今の正しい実務のルール」を、プロの視点から分かりやすく丁寧にお話しします。
■ 2022年10月に個人向けの火災保険は大きな節目を迎た
このタイミングで、日本の多くの損害保険会社が一斉に約款(契約のルールブック)を改定し、個人向けの火災保険に本格的な「復旧義務(原則として、実際に元の状態に修理・復旧すること)」という新ルールを明文化しました。
現在では、この「建物に関する保険金は、事故直前の状態に復旧するために使う」という考え方が、業界全体のスタンダードになっています。
「修理の前に見積もりを出して手続きを進める」という流れ自体は今も変わりませんが、現在のルールでは「実際に復旧すること」が前提の条件(合意事項)となっています。
そのため、悪質な業者の言う「直さなくても大丈夫」を真に受けて、実際には直す予定がないまま申請を進めてしまうと、現在の仕組みではこの「復旧義務」に抵触し、**保険金が支払われない**といった深刻な問題に発展してしまうのです。
■ なぜ、これほどルールが厳しくなったのか?
真面目に保険料を払っている加入者の方からすれば、「どうしてそんなに堅苦しいルールになったのか」と疑問に思うのも当然です。
しかし、この厳しいルールを作らざるを得なかった背景には、やはり先ほど触れた「保険金の申請代行や申請サポートをうたう悪質な業者」の存在があります。
彼らは、親切を装って近づき、わざと膨らませた高額な見積書を保険会社に提出させ、以下のようなトラブルを引き起こしていました。
* 工事をしないケース:いざ保険金が下りると、法外な手数料だけを抜き取って工事をせず連絡が取れなくなる。キャンセルしようとすると高額な解約料を請求する。
* 凄まじい手抜き工事をするケース:保険金をできるだけ自分たちの利益にするために、お客様の見えないところで手抜き工事をする。例えば、お客様の目には見えない高い場所(3階の屋根など)は簡単な色塗りのみで済ませ、見える部分(2階の屋根など)だけを新しく見せかけるような手口です。
こうしたトラブルから大切な加入者を守り、制度を正しく維持するために、保険会社は「復旧を前提とする」という防衛策を強化せざるを得なくなったのです。
■ 大切なのは、まず加入している窓口(代理店)に相談すること
もし破損を見つけて「火災保険で直せるかな?」と思ったり、突然訪ねてきた業者から提案を受けたりしたとき、突然訪ねてきた見知らぬ業者には、その場での調査や見積もりを安易に依頼しないよう十分に注意してください。
もし、今ご契約されている保険の窓口や担当代理店があれば、まずはそこに「破損を見つけたのですが、どういう手順で進めればいいでしょうか?」と気軽に聞いてみてください。
プロの代理店であれば、
「まずはこういう手順で進めていきましょう」「こうした場合はこのように対応してくださいね」と、お客様がトラブルに巻き込まれたり不利益を被ったりしないよう、プロの目線から正しい手順や適切なアドバイスを丁寧にお伝えすることができます。
■ お客様に「任せて良かった」と安心していただけるように
ルールが厳格化された背景には、健全に保険制度を維持し、本当に困っているお客様を守るという大切な目的があります。
お客様が不安なく保険を使い、安心してお住まいを修理できるよう寄り添うことこそが、ルールが変わった今、私たちプロの代理店に求められていることです。
火災保険は、住まいという大切な資産を守るための「最後の砦」です。
もしお住まいのことで少しでも気になることや、突然のトラブルに直面したときには、迷わず、いつもあなたをサポートしてくれている担当者や信頼できる代理店へ相談してみてくださいね。

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