【就業不能保険の闇】会社を休んでも「うつ病では1円も出ない」過酷な現実

はじめまして、旅する保険プロです。

「病気やケガで長期間働けなくなったら、住宅ローンや生活費はどうしますか?」「医療保険だけでは、働けない期間の収入は守れませんよ」

そんな不安を煽る形で人気を集めているのが「就業不能保険」です。

確かに、「働けなくなっても毎月15万円が入ってくる」と言われれば、大きな安心を感じるかもしれません。しかし、ここには医療の現実と保険のルールの間に、あまりにも深い溝が存在します。

これは、私が実際の相談現場で出会った、あるサラリーマンのお客様の本当に切ない実話です。

そのお客様は、数年前に他社の営業マンから「これからはメンタルの時代ですから、うつ病になっても毎月給付金が出るこの就業不能保険が絶対に必要です!」と熱心に勧められ、大きなお金を払って加入されていました。

その後、仕事の猛烈なストレスから本当にうつ病を患ってしまい、会社を長期休職することになってしまったのです。

収入が途絶える恐怖の中、お客様は「あの時、就業不能保険に入っておいて本当に良かった…」と、藁をもすがる思いで保険会社に給付金の請求をしました。

しかし、保険会社から戻ってきた答えは、あまりにも非情なものでした。

「お客様の状態では、給付金は1円もお支払いできません」

うつ病の苦しみと戦いながら、頼みの綱だった保険からも見捨てられたお客様は、文字通り絶望のどん底に突き落されてしまいました。その後、私のところに相談に来られた時のがっくりと肩を落とされた姿を、私は今でも忘れることができません。

■ なぜ、会社を休んでも1円も出なかったのか?

これが、就業不能保険に潜む最大の「闇」です。「働けない」と判断して給付金を出すかどうかを決めるのは、あなたでも、あなたの主治医でもなく、保険会社の「約款(ルール)」だからです。

特にうつ病などの精神疾患の場合、多くの保険会社が給付の条件として「精神保健指定医による診断」だけでなく、「通院ではなく、連続した長期間(60日や180日など)の『入院』をしていること」を義務付けています。

しかし、現代のメンタル治療の現実はどうでしょうか。よほどの重症でない限り、基本的には「自宅療養や通院」が主流です。

つまり、体調を崩して現実に「会社を長期間休んで働けない」状態になっていても、保険会社の「シビアな入院基準」に該当しなければ、「在宅での休養は就業不能とは認められません」とバッサリ拒否されてしまうのです。

■ 会社員(社会保険加入者)には、すでに最強の「傷病手当金」がある

さらに、サラリーマン(社会保険加入者)であれば、万が一うつ病などで長期間働けなくなったとしても、国の制度として「傷病手当金」が支給されます。これは、給与の約3分の2が最長で1年6ヶ月間も国から保障されるという、極めて強力な盾です。

他社の保険営業マンは、この国の最強の盾があることを詳しく教えてくれません。なぜなら、それを教えてしまうと「じゃあ、民間の就業不能保険なんてわざわざ入る必要ないね」と気づされてしまうからです。

■ 不安を買い足す前に、国の盾を確認する

「働けなくなったらどうしよう」という漠然とした不安に駆られて、中身も知らずに毎月の保険料を買い足していく(足し算)のは、ただ保険会社のカモになるだけです。

私たちが本当にすべきことは、まず「自分がすでに持っている国の保障(傷病手当金)」の強さを正しく知ること。外部の甘い言葉に惑わされず、それでもどうしても足りないリスクの隙間(例えば自営業の方など)だけを、必要最小限のコストで埋めることです。

看板の安心感に騙されず、医療の実態と制度の現実を冷徹に見極めて、本当にあなたを守る選択をしていきましょう。

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