はじめまして、旅する保険プロです。
「今は投資の時代です。この変額保険なら、投資のプロが世界中の株式で運用してくれるので、新NISAみたいに資産を大きく増やせます。しかも、万が一のときは数千万円の死亡保障もついてくるので、新NISAを自分でやるより断然お得ですよ!」
ここ数年の新NISAブームに乗っかって、営業マンからこんな風に熱弁され、「投資もできて保障もつくなら一石二鳥だ」と変額保険に加入する人が急増しています。パンフレットに載っている「右肩上がりの運用シミュレーション」を見せられたら、誰だって夢を見てしまいますよね。
しかし、ここに「自分で投資信託を買う場合」と比べたときに、将来受け取れるはずの利益が数百万円レベルで消えてなくなる、生命保険業界最大の「中抜き」の罠があります。
「同じ世界株に投資していたのに、なぜ自分の解約返戻金(積立金)はこんなに増えていないんだ…」と10年後に後悔しないために、現場の冷徹な数字のリアルをお話しします。
■ 中身はネット証券で買える「オルカン」と同じ
まず知っておくべき真実は、変額保険が投資している先(特別勘定)の多くは、ネット証券で誰もがボタン一つで買える「全世界株式(通称:オルカン)」や「全米株式(S&P500)」といったインデックスファンドと中身はほぼ同じ、ということです。
「投資のプロが運用する」と言えば聞こえはいいですが、実際の仕組みは、特定の株を人間が選んでいるわけではありません。世界株の指標(データ)と連動するように、コンピューターのプログラムが機械的に株を買い集めているだけなのです。
それなのに、なぜ変額保険を通すと、新NISAに比べて手元に残るお金が圧倒的に少なくなってしまうのでしょうか。
■ 毎月ごっそり引かれる「二重の手数料」
その理由は、変額保険という仕組みのなかに、営業マンが絶対に言わない「二重の手数料(コスト)」が隠されているからです。
ネット証券で新NISAを使って世界株の投資信託を買う場合、かかるコストは「信託報酬(年0.1%前後など)」という、驚くほど安い運用手数料だけです。
一方で、変額保険の口座からは、以下のコストが毎月信託報酬とは別に「自動的に引き算」され続けています。
1. 保険関係費(契約初期費用や維持費):営業マンへの高額な歩合給や、保険会社のビル維持費
2. 保障のコスト(危険保険料): 万が一のときの死亡保障を維持するための掛け捨て費用
つまり、あなたが毎月3万円を投資しているつもりでも、実際にはそのうち数千円が「保険会社の取り分」として毎月確実に中抜きされ、残ったお金だけで世界株を運用している状態なのです。
「手数料が0.1%違うだけで大騒ぎになる」投資の世界において、この「毎月の数千円の中抜き」は致命的です。20年、30年と積み重なったとき、ネット証券で直接新NISAをやっていた人と比べて、将来の運用成果に「数百万円」もの埋められない格差となって跳ね返ってきます。
■ 「一石二鳥」という足し算を捨て、財布を分ける引き算
「投資もできて、保障もつく」という言葉は、裏を返せば「投資としての効率は最悪で、保障としても中途半端」という一石二損の典型例です。
これに対するプロの引き算は、いたってシンプルです。
「投資と保険を一つの商品にまとめるな」。これに尽きます。
世界株の成長に乗せて資産を増やしたいのであれば、保険会社の手数料を挟まずに、ネット証券を使って新NISAで直接「オルカン」や「S&P500」を買い、運用効率を最大化させる。
そして、もし家族のために必要な死亡保障があるなら、変額保険ではなく、月々数千円の完全に掛け捨てのシンプルな保険を別でカチッと1本用意しておく。
このように財布を2つに切り離すだけで、保険会社に支払う無駄な手数料を引き算し、あなたの大切な資産を数百万単位で守ることができます。営業マンの「セットでお得」という甘い罠に惑わされず、本当に効率の良い資産形成を選んでいきましょう。

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