【保険の盲点】お店の商品を壊したらお金が出るのに、友達から借りた高級品を壊したら1円も出ない本当の理由

はじめまして、旅する保険プロです。

「買い物中、うっかりお店の高級な食器を落として割ってしまいました。でも、入っていた個人賠償責任特約で全額弁償できたのでホッとしました」

「ところが、友達から借りていた高級カメラを旅行中に落として壊してしまった時は、同じ保険を使ったのに『今回は1円も保険金が出ません』と断られたんです。同じ『他人のモノ』を壊したのに、どうしてですか?」

現場で30年、このようなお悩みや疑問のご相談をいただくことがよくあります。

他人のモノを壊してしまって、相手から弁償を求められている。一見、どちらも同じトラブルに見えますよね。毎月しっかり保険料を払っているのだから、当然どちらも守ってもらえると信じている方は驚くほど多いです。

しかし、ここには自動車保険や火災保険にトッピングされている「個人賠償責任特約」の、実務上もっとも勘違いされやすい「最大の落とし穴」があります。

結論から言うと、保険会社がいじわるをしているのではありません。「法律上の責任の種類が、根本から全く違うから」なのです。

今日は、良かれと思って友達から借りたモノで人生の大きなトラブルを抱えないための、プロが教える「正しいお守りの持ち方」をお話しします。

■ 「お店の商品」はなぜ保険が出るのか?

まずは、お店の商品を壊した時にお金が出る理由から解説します。

これは、法律でいう「不法行為(ふほうこうい)」に対する賠償責任が発生するからです。

あなたとお客さんの間には、事前に「その商品を大切に扱います」というような契約や約束は交わされていませんよね。そんな見ず知らずの関係において、あなたのうっかりミス(過失)によってお店に損害を与えてしまった。

このとき、民法によって「法律上の損害賠償責任」があなたに発生します。個人賠償責任特約は、まさにこの「法律上の賠償責任を負ったとき」のために作られた保険なので、お店への弁償代がキッチリ支払われるのです。

■ 「借りたモノ」になった瞬間に起きる、保険のシャットアウト

では、なぜ友達から借りたカメラだと、同じ保険から1円も出なくなってしまうのでしょうか。

キーワードは、保険のルールに必ず出てくる「管理財物(かんりざいぶつ)の免責」という決まりです。

友達からモノを借りるという行為は、法律上「使い終わったら、元通りにして返します」という約束のもと、あなたがそのカメラを預かり、自分の意思でコントロール(管理)している状態になります。

実は、一般的な個人賠償責任特約のルール(約款)には、「自分が正当な権利に基づいて管理している財物の損害に対しては、保険金を支払わない」という明確な免責条項があります。

自分が預かって借りているモノまで保険の対象にしてしまうと、いくらでも不正ができてしまうリスクがあるため、一律で対象外にされているのです。

つまり、友達からモノを借りて「自分の管理下」に置いた瞬間、それは法律上の『不法行為』ではなく『預かったモノを返す約束の違反』という扱いになり、通常の個人賠償責任特約では完全に補償の対象外になってしまうのが大原則なのです。

■ あなたの保険はどっち?プロが教える見分け方

「えっ!じゃあ友達のカメラを壊したら、絶対に自腹で弁償しなきゃいけないの?」と不安になりますよね。

実は、ここからがプロの代理店としての本領発揮です。

あなたが今加入している「保険会社」やその「プラン」によって、この借り物リスクへの対応は真っ二つに分かれています。

損害保険会社の中には、この弱点をしっかりとカバーするために、個人賠償責任特約の中に最初から「受託物(借り物)の補償」を自動的にセットしてくれている手厚いプランが存在します。これなら、友人から借りたカメラや釣り竿などをうっかり壊してしまった時でも、上限額の範囲内でしっかりと保険金が出ます。

しかし、ひと口に個人賠償特約と言っても、一歩引いたシンプルなプランや、一部のネット通販型の保険などでは、この借り物の補償が一切ついておらず、大原則通り「1円も出ない」という状態になっていることも少なくありません。

(※ちなみに、レンタルショップから仕事として借りたDVDやスーツケースなどは、どの保険会社でも一律で対象外となるのが基本ですのでご注意ください)

日常の「もしも」を本当にカバーするためには、パンフレットの「他人のモノを壊した時も安心!」という表面的な言葉だけを信じてはいけません。

■ 正しい知識で、大切な関係を守る

無駄な保険は限界まで引き算する。

けれど、こうした「友達からモノを借りる」という身近な行動の中に潜む、法律と保険のスキマだけは、正しく知って埋めておく必要があります。

だからこそ、私たちがお客様にプランをご提案する際は、こうした細かい中身の違いまで徹底的にこだわって最適な形を整えています。

もし、「友達からよくゴルフバッグやカメラを借りるな」という記憶がある方は、ぜひ一度ご自身の保険の証券を開くか、信頼できるプロの窓口に「私の個人賠償、借り物までカバーできるタイプですか?」と確認してみてくださいね。

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