【積立保険の裏側】「元本保証」の甘い罠。営業マンが隠す『手数料』とインフレの冷酷な現実

はじめまして、旅する保険プロです。

「今は銀行にお金を預けても、金利が低くて全く増えませんよね。でも、この積立保険なら、毎月コツコツ少額から積立ができて、万が一の保障を用意しながら、満期には払ったお金が105%になって戻ってきます。元本保証ですから絶対に損はありません!」

営業マンからそんな風にシミュレーションのグラフを見せられて、「これなら無理なく貯金代わりに始められる」と、毎月の給料からコツコツ数万円の積立保険(養老保険や終身保険、個人年金など)を始めた方は非常に多いはずです。

しかし、ここに貯蓄型保険の中で最も多くの人が大後悔する「数字のトリック」が隠されています。

「元本保証で増えるはずだったのに、なぜか大損してしまった…」と後から頭を抱えることのないように、パンフレットの綺麗事ではない、現場のリアルをお話しします。

■ 払ったお金がそのまま貯まっているわけではない

積立保険における最大の誤解は、「自分が毎月払っている保険料が、そのまま丸ごと貯蓄に回っている」と思い込んでいる点です。

実際は全く違います。あなたが払った保険料から、保険会社はまず以下のような**「目に見えないコスト」をごっそりと引き算しています。

 1. 社費(契約初期費用や維持費):保険会社のオフィス運営費や、営業マンへの高額な歩合給(手数料)

 2. 危険保険料:万が一のときに遺族に払う「掛け捨ての保障」のコスト

つまり、あなたが毎月3万円払っていたとしても、実際に貯蓄(運用)に回っているのは2万数千円程度、ということが普通に起きているのです。

営業マンは「満期まで持てば105%になります」と言いますが、それは裏を返せば「最初の数年〜十数年の間は、手数料を引かれたせいで、解約したら大赤字(解約控除)になる」という冷酷なシステムを意味しています。急にまとまった現金が必要になって途中で解約しようとしたとき、払った金額より数十万円も少ない解約返戻金を見て、初めて現場で大揉めになるケースが後を絶ちません。

■ 105%になっても大損する「インフレ」の盲点

さらに、営業マンが絶対に口にしないのが「インフレ(物価上昇)の恐怖」です。

「銀行に預けるより得だから、10年後に105%になって戻ってくる保険に入ろう」と決めたとします。一見、賢い選択に思えるかもしれません。しかし、もしこれからの10年間で、世の中の物価が毎年2%ずつ上がっていったらどうなるでしょうか。

10年後、あなたの手元には確かに額面通り「105%」のお金が戻ってきますが、世の中の物価はそれ以上に跳ね上がっています(単純計算でも10年で20%近く物価が上がっている可能性があります)。つまり、「数字(額面)の上では元本保証されていても、お金の価値そのものが目減りして、事実上の大損(購買力の低下)を抱える」という悲惨な未来が待っているのです。

10年という長い期間、大事なお金を保険会社にガチガチにロックされ、途中で引き出すこともできず、インフレの波にただ呑まれていく。これが、営業マンが語らない「元本保証の積立」の本当の怖さです。

■ 貯蓄と保障を完全に切り離す「プロの引き算」

「保障もついて、お金も貯まるから一石二鳥」という思考停止の足し算は、今すぐやめてください。一石二鳥に見える商品は、裏を返せば「保障としても中途半端で、貯蓄としても効率が最悪」という一石二損になりかねません。

30年のプロとして、私がたどり着いた引き算の鉄則はひとつです。

「保険で貯蓄をしようとするな」ということです。

私たちが本当にすべき賢い選択は、仕組みをシンプルに分けることです。

万が一の保障は、掛け捨ての安い保険を使って必要最低限の保険料だけでカチッと用意する(引き算)。そして、浮いたお金や貯蓄に回したい原資は、保険会社の高い手数料を挟まずに、新NISAなどを活用して自分でインフレに対抗できる資産運用を行うことです。

営業マンの「元本保証で増えます」という目先の安心トークに騙されず、お金の「真の価値」を守る大人の選択をしていきましょう。

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